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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

傍観の円舞曲-ワルツ- 第10曲



 


ぺしっ。



「もっと腰入れてみ」



ぱしっ。



「そうそう、手首きかせて」

部屋の中で響く、軽い音とアドバイスの声。
雪里が振っているのは小さなハリセン。
教えているのは、同じくハリセンを持った露鬼。
店のカウンターでくすくすと笑うのはフェル。

止めていた羽根ペンを動かして、最後の一文を書く。
紙を折り、封をすると隅に “Crown” と一言示した。





カランカラン……



「こんにちは」
「いらっしゃいませ。今日はお一人で?」

フェルが問うと青年は苦笑した。

「はい」
「せっかく徹君のために用意しておいたんですが……」

トン、とファ●゛リーズ (ラベンダー) をカウンターに置いた。
青年はそれを見てどこか微妙な顔をする。
そしてやおら真剣な顔になると、フェルに詰め寄った。

「フェルさん」
「はい、何でしょうか。正義君?」
「……お願いがあります」
「はい」


「四次元ポケット灰皿創って下さい!!」


「いいですよ」

フェルが快く頷くと、正義は何度も何度も礼を言う。
そしてとても必死な面持ちで帰っていった。
徹のヘビースモーカーぶりには、いくら正義でも
耐え切れない部分があるのだろう。



すぱんっ。



店の中にまた軽い音が聞こえた。





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