忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

歴史



 


「歴史が繰り返す? そんなの当たり前だろ、
 歴史を重ねてく奴らが代わり映えしないんだから」



あまりにもあまりな世界を見つめて嘆いていると、
横からとても呆れたような声が飛んでくる。
見やればやはりその顔も呆れた色。

「……人は成長しない…と?」

そう問いかけてみれば首を横に振った。
そして諭すように言葉を紡ぐ。

「そうじゃなくて心根っつーかさ、中身だよ中身。
 どれほど外見が進化しても中身が同じなら意味ねえだろ」
「ふむ……」

一理あるなと思いつつ思案する。
確かにどれほど時が経ち、周りがどれほどの文明を
築いていようとも
それを支える者達の思考が愚かとも言える歴史を築いた者達と
同じ思考を持つならば。

確かに、繰り返してしまう。


「あんたの “人は学びつつ変わりながら生きる” って言葉を
 否定するつもりは別にないさ、あんたが人好きなのは知ってるし」


肩をすくめながら、ソファの背もたれに腕をのせる。
それに顎を乗せるという行儀の良くない姿勢で続けた。

「でも俺はそこまで無条件に信用なんて出来ないんだよ、
 特に “人間” ってのにはさ」
「……そうか」

目の前で話すその淡々さに思わず苦笑する。
ああ、確かにお前には出来ないだろう。
人間を何もなく好きだと言って信用する事を。

お前には。


「あんたは全部に優しすぎ」


びしりと指をつきつけられる。
だが嫌ではない。

「優しすぎて、傷ついてんのに気づかない馬鹿だよ」
「……そうか?」
「俺には分かんねえよ……あんたの優しさが」

つかれる溜息さえ嬉しい。

「私を理解しようとしてくれて、ありがとう」
「ばっ……誰がだよ! 俺はあんたが…………あーもーいい。
 今のあんたに何言っても仕方ねぇし!」
「そうなのかい?」

「何言われても嬉しいって顔してんだよ、お前」





END.

拍手[0回]

PR