クラスシリーズ 14

私は熱望している。

この地を離れるその時の
好機がいつか来る事だけを。


私は妄信している。

この地を捨てるその時の
戒めをすべて忘れる事を。



そう、ヒトの足が地についてなければ
生きられないというなら戒めだ。

それは古から続く。
それは始から続く。



そう、ヒトは穢れの多い地の下でしか
生きられないというなら戒めだ。

それは理の教え。
それは根の教え。



何故それほどまで進化を拒む。
何故これ以上の進歩に戸惑う。


今や鉄器は道を走り空を飛んでいる。
深海へ潜り、ましてやあの遠い銀の海さえ渡る。


恐れる必要がどこにあるのだろう。
ヒトが地を離れてはいけない理由は何だ。
私は戒めからの解放を示す。
必ずやこの身は地より離れる。

目的地などまだ見えない。



私は私の羽を手にするのだから。





「聞いてるか、羽生？　一人じゃ鳥人間コンテストは
　無理なんだからな、絶対」





羽生 久（はにゅう ひさし）