――笑う。
それは健康にいいと言われている。
それは科学にも立証されている。
――笑う。
それは心理にいいと言われている。
それは平和にも立証されている。
――笑う。
先人達が遺したことわざにも、
笑う門には福来るとあるように。
何にも変えられない宝物なんだ。
もしも。
誰もが笑わなくなってしまったら。
世界にひどい闇が訪れてしまうだろう。
ああ、なんて暗い世界だ。
無表情から怒りへ。
悲しみへと変わっては
また何もない無表情に戻ってしまう。
ああ、なんて怖い世界だ。
人が笑えなくなれば。
喜びも嬉しさも伝えられなくなってしまう。
心を分かち合えなくなってしまう。
永遠に一人ぼっちの世界だ。
暗闇の中で心がすさむ。
周りの人間を信じられずにどんどん孤独になっていく。
笑えない場所に光はささないから
余計に笑えなくなるんだ。
それならば僕は笑おう。
今はまだ誰にも理解されなくてもいい。
ひどい未来を避けるためにも。
今から僕はたくさんたくさん笑っていよう。
怒った時も、悲しみにくれた時も。
困った時も、呆れてしまった時も。
最後には笑顔に戻ろう。
僕が笑っているのを見て思い出せばいい。
どれほど馬鹿らしいとののしられたとしてもいい。
僕は少しだって気にしないから。
いつでも最後には笑っていよう。
一人でも笑い続けていよう。
闇に落ちる世界に負けないように。
僕の心を助けるために。
「野江……なら 『クククッ』 っていう笑い方やめてくれ……
笑えるどころか、すごく怖いぞ……」
出席番号13番
野江 翔也(のえ しょうや)