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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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決意






「ふう……」

エレベーターの扉が完全に閉まった瞬間、僕は思わず呟く。

いつもながら残業は疲れる。
特に入社して二年しか経ってないからか。
上司からはまだまだ新米扱いだ。
うまくいかない日も多い。

けれど、僕には目標があった。
この会社で数少ない女性社員ながらも、エリート街道を
突き進んでいるあの人のように働きたい。

入社してすぐの頃、始めての事ばかりで失敗を重ね、落ち込む
僕を決して甘やかさずに叱咤激励しながらフォローしてくれた。
上司として憧れているし……女性としても憧れてる。

まあ、あの人みたいに大きな成果を成し遂げてるわけじゃないから、
僕に望みなんてないんだけどさ。
好きな人がいるって、もっぱらの噂だし。

今日だって会議はないのに何かを決意した顔だった。
……好きな人に告白でもされたのかな。
そしたら僕大丈夫かな?





落ち着け落ち着け落ち着け。
伊藤君はまだ残業で帰ってない。
受付の子にちゃんと確認してきたんだから絶対大丈夫。
大丈夫だから落ち着きなさい、私の心臓っ!

後でシワになる事にも気づかないで、
私はスーツのすそを汗ばんだ手で握り締める。

初めての一目惚れよ、頑張るのよ、私。
本当は同僚が担当するはずだったフォローも請け負ったし、
見てもらえるように仕事もたくさんこなしてきたんだもの。
プレゼンや会議だって数こなしてきたのよ、
ただ一人の前で気持ちを伝えるなんて簡単じゃないの。

そうよ簡単よ、だから落ち着け私。
深呼吸すればいいのよ。
人を三回書いて飲めばいいのよ。

それで伊藤君がエレベーターから降りてきたら、
颯爽と近づいていって大人の余裕を持ちながら彼に
『好きだ』 って



「あれ? 安田さん、こんな時間まで珍しいですね」
「伊藤君結婚して下さい」





END.

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