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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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―再邂逅―

 
 

「この生ゴミぃ!!」
「何ですかでっかいトカゲのフィリアさん!?」


先ほどからこのやり取りの繰り返しだ。

ヴァルは呆れた顔、栗色の髪の少女と金髪の剣士は
慣れたような顔で二人を眺めている。
リヴィは普通に、内心楽しげに眺めていた。

フィリアとは会ったばかりでよく分からないが、それ以上に
ゼロスは見ていてとてもとても面白い。
出逢った頃……約千年ほど前とはまったくの別人だ。
これは彼にとって良い変化だと言ってもいいのだろうかと、
リヴィは小さく苦笑する。



女魔道士の見事な蹴りに、こてんぱんにのされた男たちは、
弁解の余地もなく警備兵に突き出された。
そしてパンパンと手を叩いて埃を払っている所に、少女とフィリアの
目がばっちりと合ったのだ。

「リナさんっ!」
「フィリアじゃないの!! 何、どしたの!?」
「ええ、今日は――」

そこで彼女は気づいたのだ。
リナの後ろ金髪の剣士、その横に黒衣の神官がいることに。

始まるのは、多大な口喧嘩。

リナの大暴れを見学していたギャラリーは解散せずに、
今度は二人の口喧嘩を野次馬している。
どちらが勝つか賭けを始めるかのような声も聞こえてくるが、
喧嘩する二人にはまったく聞こえていないのだろう。

「ヴァル、そろそろ止めないと、フィリアさん見境なくすのでは?」
「……それもそうだな」

リヴィの言葉に盛大な溜息をついてヴァルは、ヒートアップした
フィリアを止めに入る。
間に入ってきたヴァルに、ゼロスがきょとんと首をかしげる。
そして、やおら納得顔をするとぽんっと手を叩いた。

「ああ、ヴァルガーヴさんですか。記憶をお持ちなんですねえ」
「……ちっ。ヴァルガーヴじゃねぇよ、ヴァルだ」

ぜえぜえと肩で息をついているフィリアを下がらせながら、
ヴァルは苛立たしげに舌打ちする。
なるべくゼロスを見ないようにして背を向けた。

くすくす、と笑うゼロスはふいにリヴィに気づく。
目があって、にっこりと微笑むリヴィにつられたのか、
ゼロスもにっこりと完璧な微笑み返した。
瞬間、笑いのツボに入るリヴィ。

「(あっ、あんな顔、私っ……)」

しかしそれは表にはせずに内にしまいこむ。
完璧な子供の顔で頭を下げた。

「こんにちは、神官様」
「こんにちは。ええと……この間の子ですよね?」
「はい、覚えててくれたんですね」

嬉しそうに答えるリヴィに苦笑するゼロス。
それにリナが胡乱気に問いかけた。

「何よゼロス、あんたその子と知り合いなの?」
「いいえ。ここに来る途中でぶつかってしまった子です」
「僕の不注意で転びそうになったんです。フィリアさんたちとは
 偶然、街道沿いの森で会いまして、ここまで一緒に。
 僕はリヴィといいます」

ぺこり、と頭を下げるとリナは肩をひょいっとすくめた。

「へえ、そうなの? あたしはリナ」
「俺はガウリイ。よろしくな、リヴァ」
「リヴィです。……あの、リナさん、ということは……貴女が、
 リナ=インバースさんですか?」

首をかしげて問いを返してみる。
するとリナは首を傾げた。
そしてきょとんとしながら問いかけた。

「あたしのことを知ってるの?」
「リナ、お前さんドラマタって有名じゃないか」


スパーンッ!!


スリッパの良い音が辺りに響く。
かなりの早業。
彼女の手すら見えなかった。
そのことにリヴィは思わずくすりと声をたてる。

それに、こほんっ、と一つ空咳をするリナ。

そしてリヴィに目線を合わせるようにしゃがんだ。
こうして、自覚なしに子供に優しく出来る所は美点だろう。

「で。あたしは確かにリナ=インバースだけども?」
「貴女に伝言を預かってきました」

彼女の澄んだ紅の瞳を真っ直ぐに見つめながらリヴィは言う。
“彼女” とは少し違った色。
だがとても綺麗だとリヴィは思った。
曲がったことが嫌いな、強い意志を持った瞳だ。

「あたしに伝言?」
「はい」

にっこりとリヴィは笑んだ。

「貴女のお姉さんから」

瞬間。
ずざぁっと青ざめたリナは何事かをわめきながら
ガウリイの後ろに隠れて彼にすがりつく。
お姉さんという言葉に心当たりのあるようなフィリアと、
首を傾げるのはゼロスとヴァルとガウリイ。
それを見てゼロスは知らなかったのだろうと検討をつけた。

「貴女のお姉さん……スィーフィード・ナイトの、
 ルナ=インバースさんから」

ゼロスの顔が引きつった。





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