生きている実感を、胸にいだくのだ。
顔につけるのはかたいペルソナ。
外れることのない、静かな笑みを張り付ける。
ペルソナをつけていると知られてはいけない。
心の内を読ませてはならない。
道を決めろ。
きらりと落ちたコインを手の甲で受け止めた。
表の刻印は―――トランプ。
さっと胸のポケットから抜き出して、カモという名の
“ピース” にくばる。
けれど手に取るどころか、カードは腕に深く突き刺さった。
さよなら、その腕はもう使えない。
ペルソナが外れて、心をそのまま表に出している。
君はもうこの “ゲーム” から降りなければならない。
指も動かなければ、口も動かない、目も足も心臓さえもが。
ならば負ける “ゲーム” を続ける必要はどこにもない。
運命の輪は、君の前ではもう回らないのだから。
投げたコインを手の甲で受け止めた。
裏はトランプ、表の刻印は―――ダイス。
ソデに入れておいた、六角の小さな二つのカケラを振る。
“ピース” はダイスの目を見ず、ノドに食い込ませた。
出た目は 6 と 6 。
限りはあるけれど、振るうまでの可能性は未知数。
けれど君の運命は二つしか選べない。
運命に見離された君には、もう用はない。
次は何で勝負をしようか。
スロット、ルーレット、またカードゲームをしようか。
かけられるものは全てかける覚悟を持つといい。
財宝であれ、人生であれ、己の命であれ。
それが勝負をかける者の心だ。
その勇気がないのならば、早々に “ゲーム” から身を引くといい。
今ならまだ、無一文にならなくてすむのだから。
私は勝つだけの “ギャンブラー” として生きている。
END.