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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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第10章

 
 
 

鏡ごしに見える彼らの様子に、くすくすと笑う長い黒髪の男性。
瞳も闇より深い漆黒で、額に金のサークレットをつけている。
ふいに、傍にある鏡から声が聞こえてきた。

「ん?ああ……すまないな。何とか終わったようだよ」
『あらそう?それなら良かったわ。あの子たちはあたしの
 部下じゃないのに、何だかんだ働きづめにしちゃってるもの。
 これくらいはどうってことないわよ』
「そうか」

他の部下より仕事が速いしね、と女性は上機嫌な様子で
そう答える。

『ええ。――でもいいの?本当のゆがみは消えてないんでしょ?』
「まあね」

男性は椅子に背を預け、足と両手の指先を組んだ。
そしてジェームズたちの映る鏡を見やる。

「だが……リリーは目覚めたから、ひとまずこれでいいだろう。
 あとは細部までしっかりゴドリックやサラザールたちに
 調べさせるさ。何せ、あの子たちが残した種なんだからね」
『ふふふ、あの子たちも大変ね』
「トゲ付きハンマーでお仕置きをする君には、到底適わないと
 思うけれど」
『あら?言ってくれるじゃない』

だが女性も、男性と同じようにくすくすと面白そうに笑っている。

「君の方はどうだい?何か面白いことでも?」
『そうね、もうすぐあるかしら』

楽しみを待つ瞳をきらめかせて、女性は笑う。
男性はそれを見ると、にっこりと嬉しそうに微笑み返した。

「あの世界かい?」
『もちろんよ。あたしが造ったとはいえ、あの世界は面白いわ!
 特に人間たちが……ね。良かったら遊びにいらっしゃい』
「そうだな、暇を作って行くとしよう」

その答えに満足したような女性は、ふと後ろを振り向いた。

『あの子が降りるようね……。それじゃ、また連絡するわね♪』
「ああ、待っているよ」

そして鏡の中からふっと女性の姿が消え、普通の鏡に戻る。
男性はゆっくり立ち上げると、鏡に手を触れた。

時空の王――クロノス・オブ・オーシャン。
ジェームズたちの上司、ケイはにっこりと微笑んだ。





END.

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