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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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第9章

 
 
 

「おはようございます、ダンブルドア」

翌朝、寝不足で眠そうにしたリーマスを伴いながら
ジェームズは校長室へと戻ってきた。
ソファにはシリウスがぐったりと、顔を伏せて寝ていた。
にやりと笑んだジェームズは、忍び足でシリウスの前まで来る。
そして、ふっと耳に息を吹きかけた。

「目覚めの言葉は何がいいかしら?ダ・ァ・リ・ン♪」
「ッ!??」
「うわあ、ジェームズ似あわない。気持ち悪いよ」
「……うむ…老人の朝にはキッツイのう……」

声なき叫び声を上げてシリウスはがばりと飛び起き、
リーマスとダンブルドアは顔を引きつらせて後ずさる。
むう、とジェームズは腕を組んだ。

「そうか……やっぱり女の子の声にした方が良かったかな?
 それともセブルスの声で――」
「「「それは止めい」」」

一瞬想像してしまったのか。
ざっと青い顔をした3人は、異口同音できっぱり止める。
やろうとしていたジェームズはすごくつまらない顔をした。
朝から災難なシリウスは、がしがしと頭をかいた。

「おい、ジェームズ――」
「あはは。だって朝はいつも、僕が君を起こすっていうのが
 暗黙の決まりみたいなものだったから、ついね」
「……それはそうだったんだが……」

シリウスはちらり、とダンブルドアを見る。
するとダンブルドアは、少し眉をひそめてから重々しく頷く。
そしてジェームズを見て言いにくそうに言った。

「あいつは……昨日アズカバンに送った」
「……そうかい」

寂しそうな微笑みで、窓の外へと目をやるジェームズ。
部屋の中に沈黙が流れた。
しばらくして、校長室の前がなにやら騒がしくなったことに
気がついた。

『――朝食に行けばいいだろう?』
『それを言うならスネイプ先生も行ったらどうですか?』
『我輩は校長に用があって来たのだ』
『ああ、僕もここに用があって来たんです』
『授業に遅れてもいいなら構わんが?』
『1時間目はどうせ占い学なんで、自習しますよ』

そしてノックのあと、扉が開かれる。
不機嫌そうなセブルスと、黒いオーラを纏うハリーが入ってきた。
しかしハリーはジェームズたちを見ると、黒さが瞬時に散る。

「おはよう父さん!シリウス、ルーピン先生、校長先生」
「ああハリー、おはよう。それにセブルスもおはよう」
「おはようハリー」
「「おはようハリーにセブルス」」

セブルスは何も言わないし、シリウスもセブルスの名前は言わない。
しかしジェームズもハリーもリーマスもダンブルドアも
まったく気にしなかった。

ふと、ダンブルドアがジェームズに話しかける。

「そういえば、ジェームズ。いつまでこっちにいられるのじゃ?」

するとその問いに皆の目線がジェームズの方へ向く。
ジェームズは首を傾げると内心で問いかけた。

『――ケイ様、聞こえますか?リリーの様子はどうでしょう?』
『聞こえるぞ。そうだな、きっともうじき――ああ、ジェームズ。
 手を差し伸べてあげるといい』

上司の言葉に、ジェームズは微笑んで立ち上がる。
そして空中にすっとエスコートするように手を差し伸べた。
するともう一つの手が静かに重なる。
ふわりと赤毛を揺らしながら、女性がその場に降り立つ。

彼女の出現に、誰よりもハリーが驚いた顔をして
一番に声を上げた。

「母さん……っ!!」
「ハリー!」

リリーは駆け寄って来たハリーを、ぎゅっと抱き締めた。
妻を抱き締めようと腕を広げたジェームズを、綺麗に無視して。

ぎしりっと固まるジェームズ。

その肩にシリウスとリーマスの同情の手が、ぽんと置かれた。
ジェームズは悲痛な顔をして振り返る。

「り……リリー、僕を抱き締めてはくれないのかい……?」
「え?だってあなたはいつでも抱き締められるけど、今回しか
 ハリーを抱き締められないのよ?それに昨日たくさんハリーを
 抱き締めたんでしょう?ずるいわ、ジェームズ!」
「そ、そんなあ……」
「だからハリーの方が優先よ♪ 大丈夫、ケイ様に今日一日だけ
 ここにいても良いとお許しをいただいたのよ。久しぶりね、
 シリウスにリーマスにセブルスに校長先生」

にっこりと微笑むリリーに、大人たちは肩をすくめる。

「リリーはまったく変わらないね……」
「ああ……まったくだ」
「……人騒がせな奴らめ……」
「ホッホッホッ」





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