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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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蛇親子 番外編1





「れぐにいさま!はやく、はやく!」
『ハリー、ちょっと待って下さい。急ぐと危ないですよ』

ぱたぱたと動くハリーに、レギュラスは慌てる。
広い外なら走り回っても気にしないが、ハリーが今いるのは
色々な物が置いてある部屋の中だ。
何かにぶつかったりしないか、つまづいて転んでしまわないか、
レギュラスとしてはハラハラしてしまう。

「だってはやくしないと、とうさまかえってきちゃう!」
『ハリー、先輩が帰ってくるのは夜ですから、大丈夫ですよ。
 まだ昼を過ぎたばかりでしょう?』
「でもはやくするの!」

休暇が終わると、セブルスはホグワーツへ行ってしまう。
今までは密かに校長に預け、校長室で過ごしてもらっていたが、
レギュラスが来てからは自宅で過ごすようになった。
ホグワーツでは姿現しなどの魔法はまったく使えないのだが、
セブルスはある手段を使い、夜にハリーの様子を見に帰ってくる。

そのセブルスのために急ぐハリーに、レギュラスは微笑む。

とはいえハリーが一生懸命やろうとしていることは、
レギュラスにとっても学生の頃に少しやっていた程度だ。

「にいさま、もういい?」
『まだですよ。もう少し冷まさないと……』

手を伸ばすハリーを、レギュラスがそっと留めた。
杖を振ってしまえば簡単に作業が進められると分かっているが、
2人はあえて魔法は使わない。

しばらくして温度が冷め、レギュラスが了解を示してみせる。
意気揚々とハリーがヘラを手に取った。
横に置いた深皿から慎重に掬って、土台へのせていく。
こぼしてしまわないかチラチラと横目で確認しつつ、隣に立った
レギュラスはナイフで材料を細かく切っていく。

「できたよ、にいさま!」

ハリーの作業が一段落したのを見て、レギュラスは頷く。
切っていた材料を小皿へ移してハリーに渡すと、ハリーは静かに
材料をひとつずつのせる。
最後にレギュラスがその上に作っておいたものを均等にかけて、
あとは涼しい所に置いておけば完成となる。

『……これでよし、と……。よく頑張りましたね、ハリー。
 これならきっと大丈夫ですよ』
「うん!」

2人は、今度は急いで後片付けを始めた。



夜になり、キィと扉が開く音がした。
それに一番最初に反応したのはハリーだった。

「とうさまだ!!」
『お帰りなさい、先輩』

駆け寄ってくるハリーを抱き上げ、セブルスはソファへ座る。
とても機嫌の良いハリーに少し首を傾げながらも、セブルスは紅茶を
淹れているレギュラスに目を向けた。

「今日は特に何もなかったか?」
『はい、誰も尋ねては来ませんでしたし。――ハリー』
「うんっ!」
『あの……先輩はちょっと待っていて下さいね』

レギュラスに呼ばれたハリーは、セブルスの腕を飛び出す。
隣の部屋へ消えた二人に、セブルスは眉をひそめる。
しかしハリーの機嫌の良さから、悪いことではなさそうだった。

あまり間も置かずに、戻ってくる2人。
テーブルに置かれたものに、セブスルは思わず目を瞬かせた。

「……これは……」
『アイシング・ケーキです』
「ぼくとにいさまで、つくったんだよ!!」

両手ほどの、あまり大きくはないケーキ。
飾られた果物と、アイシングがかけられているだけのとても
シンプルなもの。
そう、一般的な誕生日ケーキだった。

「……そうか、2人で作ったのか」
『そうです。最初は何かプレゼントをと思ったんですが……今日
 初めてハリーに教えられたもので、時間がなくて』
「そしたらにいさまがね、ケーキならつくれるかもって!」
『まあ……昔、何度作ったことがありまして』

嬉しそうに言うハリーに、レギュラスは苦笑する。

「では、いただくとしよう」
『はい』
「とうさま、たんじょうびおめでとー!!」





NEXT.
(1/9:セブルス誕生日記念!)

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