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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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政宗・番外-1


(戦無2/政宗)




――最初に出会った時から、あやつは変だった。



魔王の嫁や、寡黙な忍などではない娘。
まるで男のような、男そのものの格好をしておった。
けれど己の性を隠すわけでもなく、とても飄々としていて。
掴み所がないと思った。

猿にくだった直後、わしに一番に話しかけてきおった。
わしを見下すわけでもなく、試すわけでもなく。
ただヘラヘラと笑いながら自ら己の名を名乗って。
利きの右手を差し出した。

誰にも物怖じせぬ姿は好ましいと思った。
上司の猿や三成にも、己の意見を真っ向から突きつけて。
本来ならば、首を斬られてもおかしくないこと。
それをも許されるのは、あやつだったからかもしれん。



だが、わしは知っている。



あやつの瞳の奥底には、闇が潜み息を殺しておる。
絶対に表にはせぬ。
しかし時折、その陰はゆらめくのだ。

だからだと思った。
だからあやつはわしに構っているのだと。

きっとあの闇は、わしと同じ闇。

そしてわしにとってのめごから与えられる安らぎは、
あやつにとっての仲間と同じものなのだろう。

わしはあやつの過去を知らぬ。
誰に聞いたとしても、あやつの過去を知る者はおらん。
あやつに関する噂によれば、ある日、突然現れたという。
確かに、あやつなら不思議ではないのかもしれん。



――染められてゆくのだ。



わしも、仲間も、日の本も、空も、海も、取り巻く全て。
あやつにそうして染められていくのだ。
もう前の色を気にしていられぬほど、染まる。





「ちっびーむねっ!! 何してんの? あ、桃食べる?」
あきら……この馬鹿めが!! その呼び方は止めぬかとわしは
 何度言ったら……」
「ちび宗はちび宗ー」





深々と深々と、君の色に染められて
(小田原城戦)

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