「えー? やっぱりそこは、ツンデレでくるのが一番っすよ!」
「あー、分かってないわねえ、ゆまっち。ツンデレだけじゃ今の時代は
切り抜けていけないわよ?」
「んー、テンプレな王道も、属性としてはやっぱり良いんだけどねー。
ゆまっちの言い分も分かるけど」
「そりゃツンデレは可愛いけど、属性に萌えるキャラならまだしも、
属性にキャラが喰われたら意味ないわ!」
「まあ、確かに最近多くなってるっす、属性押し押しなキャラ」
「萌えを狙うのは全然構わないけどね。キャラがなってなかったら
属性の擬人化でしょ?」
「おーえりちゃん、例えナイス!」
「えへへー」
くすくすと笑う私。
一緒に笑いながら、一般人には何が何だか分かりにくいような
会話をしてるのは、黒い服の女性と、金髪の男性。
――そう!
隠すまでもなく、狩沢ちゃんと遊馬崎くんのオタコンビです!
さっき本店に行った時にちょっとしたことがあって、何だかんだと
意気投合しちゃったんだよねー。
その何だかんだのおかげで、色々と語り合っていた数時間のうちに、
“えりちゃん” “ゆまっち” “愁ちゃん” と呼び合えるような
仲にまで発展しました。
……趣味が分かり合える人ってすごいよね!
「狩沢、遊馬崎、お前らこんなとこにいたのか」
「あ、ドタチン、渡草っち」
呆れたような声に振り返ると、ニット帽の男性と茶髪の男性。
ニット帽の男性があたしに気付いて少し目を丸くすると、えりちゃんが
あたしに抱きついてきた。
「ドタチン、紹介するね。この娘、愁ちゃんっていうんだよー。
ついさっき仲良くなったんだー」
「どうも初めまして。愁っていいます」
「ああ……そうなのか。俺は門田京平で、こっちが渡草だ。……悪いな、
2人が世話になったみたいだ」
「その言い方酷いっすよー! 俺たち語ってただけなのに!」
ぶーぶー文句を言うゆまっち。
門田さんは聞いてるふりして聞いてない素振り。
それを分かってるらしいえりちゃんは、くすくす笑ってて。
渡草さんは傍観するように、静かに煙草を吸ってる。
4人組の楽しい風景。
思わずえりちゃんと同じように、笑いがこぼれてくる。
「ねーねー、愁ちゃん。ドタチンって何デレだと思う?」
「んー。ツンデレっぽいけどそれほどじゃないから、ダルデレとかかな?」
なごむのは、きっと暖かいから