あー、変わんないなー。
目の前を行き交う人ごみに、思わずそう思う。
ずっと乗り換えに使っていたこの大きな駅で寄り道をすることは、
学校を卒業した今だと、ほとんどなくなってしまった。
――とはいえ。
今日みたく用事があれば、すぐに来れる場所だけどね。
人の流れにぶつからないように通路のはじっこを歩きながら、
エスカレーターに乗って外に出た。
久々に見る町並みに何だか違和感を感じて、そんな自分に苦笑する。
たった数ヶ月なのに……変なの……。
別にこの街に住んでるわけでもないし、すごく好きだと言えるほど
利用してるわけでもない。
通学路の途中にあった街、買い物に都合の良い場所にある街、
趣味の店がある街。
あたしにとっては “そういう風に思ってる街” ってとこ。
それだけだったのに。
何で?
「ノォオオオミィイイイ蟲ィイイイイイイ!!!!!!!!」
「静ちゃん、顔こわーい♪」
どうして自販機が空を飛んでるわけ?
どうして刃物の煌めきが見えるわけ?
どうして標識が振り回されてるわけ?
どうして周りの人が倒れてるわけ?
どうして、どうして、どうして。
破壊活動をする金髪の男の人は。
笑顔でナイフを振るう男の人は。
コスプレじゃないわけ?
発見したのは、壊滅の町並み