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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

まるで平和な学園で (BSR2/学パロ)




※突発物。続かない。
※男主人公






俺は校長室を出た瞬間に、はあーっ!! と思いっきり息を吐いた。
予想はしていたけどやっぱり校長室にいたのは大六天魔王・織田信長で、
目に見えるくらいのすんごい覇気だった。
でも何を言おうと「是非も無し」とだけ答えられるのは、正直、
どう反応しようかと思った。
意味が分からん……。
妹も多分気にしてるだろうから、兄ちゃんが後で話してやろう。

「だいじょうぶですか」
「はは、こんなに緊張したの幼稚園の時くらい?」
「きょうとうなどを ぬいた ほかのひとは いつまでも こうちょうに
 なれません」

廊下で待っててくれた謙信に苦笑する。
……っていうことは教頭は豊臣あたりだろうな……見かけなかったが。

朔夜、これがあなたの くらすのめいぼです。きょうしつまで わたしが
 あんない しましょう」

差し出された黒いファイルを受け取って謙信の後についてく。
道を覚える気はさらさらないから歩きながら、黒いファイルを開いて
ぱらりと中を見てみた。
えーと、俺が担当するのは3-5か……。
どんな奴らがそろってんのかなー?

ずらりと縦に並んだ名前をひとつひとつ見ていた俺は、ふいに、
目を見開いて笑んだ。

いるいるいるっ!
かなりのくせものが4人もそろってる!!

こりゃあ俺としては退屈しない教師生活が送れそうだけど……
妹はどうかな?
まあ、いきなり突きつけられたこの状況であっても、我が妹ながら
状況適応能力が高い。
現代の学園パロディなんて、ゲームの戦国乱世よりも安全じゃないか。



朝起きた時、俺と妹は見知らぬ家の中に2人で置き去り。
テーブルの上には、いつものハネムーンに出かけた母親の手紙。
俺たちが眠ってる間に引っ越しをされ、そのせいで俺と妹は今まで
教鞭を取っていた、また通っていた学校が変わってしまったらしい。
手紙と一緒にあった地図を辿ってきてみれば。

――まさかの現代パロディ・私立婆娑羅学園とな……。



「ここですよ」
「おおっと。あ、そういえば謙信のクラスは?」
「わたしはとなりの さんのよんくらすの たんにんです」
「へえ、そうだったのか」

謙信はにっこりと笑って頑張って下さいね、と言って、そのまま
自分のクラスへと入ってった。
……その瞬間「きゃああ❤ 謙信様ああああ❤」というピンクの声が
聞こえてきた。

頑張れ、惚気と薔薇地獄にあうだろう、他の生徒よ。
ご愁傷様、あれにはもう慣れるしかない。

俺はこほんと空咳をひとつしてからドアを開け――ようとして、
ゆっくりと上を見上げる。
あーあ、馬鹿だなあ……マジで今時やっちゃうのか?
ベタな黒板消しトラップを。

もちろん、おとなしく引っかかてやるつもりはない。
スーツのクリーニング代払ってくれるんなら、まだしも。

一歩後ろに下がってドアを開けると、真下に標的はなく、悲しくも
床にぼとりと落ちる黒板消し。
ぎゅむり、と踏んづけて教室に入ってからそれを拾い上げ、
チョーク置きの所へぽんと置いて、ぱんぱんっと軽く手を払う。

本当は仕掛けた奴の顔めがけて、力いっぱい投げるつもりだった。
俺の世界まで登りつめた、元野球部の肩にかけて。
ああ、懐かしいなあパワプロ時代。

でも主犯はきっと二人だろうから、このひとつの黒板消しじゃ無理。
妹よ、潔く諦めたよ兄ちゃん。
教壇の上に立って、ざっとクラスを見渡す。
ちらりと目の端に入った2つの顔は、明らかにつまんなそーな顔してた。

「――さて、俺は今日からこのクラスの担任になる、咲月朔夜だ。
 何か質問あるか?」

それだけ笑って言ってのけると、少しざわつく教室内。
俺が答えてもいいかと思ってる質問は、誕生日・星座・血液型・
家族構成・恋人の存在・趣味・好きなもの・嫌いなものってところだな。
……年齢は秘密にしとこう。

すると、窓際の一番後ろから低くてもどこか力のある声が放たれた。

「You do not seem to be foolish. Oh, I want to try to look if
 there is a guy caught on such a trap.」
「I receive it for praise, and it is quite honor. But it is not
 a question.」

間を置かずに切り返した俺に、彼の左眉が少し上がる。
彼の前に座るオレンジ色の髪の男子がヒュウ、と口笛を吹いた。

「ちなみに俺は英語教師だ。授業は妥協しないから、たかが英語と
 軽く見てる奴は覚悟しといた方がいいぞ」

何せ、俺の教え方はスパルタンだと、妹を筆頭に友人たちで大好評だ。
質問ないなら出席とるぞーと声をかけて、一番目の奴から順に名前を
呼んでくと、またざわつく。

まあ、名簿見てないから当たり前か?
でも名前なんて、ここにくるまでに全員覚えたしな。
名前を呼んで返事する時に顔を見て、脳裏で当てはめてく。
これが俺の特技。
でも道とかの場合は覚えらんないんだよな……ああ、残念残念。

呼んでく途中で、声に面白みを出さないように少し我慢しながら
4人の名前を呼ぶ。

猿飛佐助、伊達政宗、長曾我部元親、毛利元就。

俺がここで楽しめそうだと思ったのは、こいつらがいるからだ。
いや、もう楽しんでるな……。
俺の英語の切り替えしが予想外だったらしいし?
あの独眼竜。

名簿無しで全員を最後まで呼び終えると、困惑めいたざわめきが
感心の篭もるざわめきに変わった。
それじゃあとりあえず、俺の授業の内容でも



『ぅおおやくあたさぶぅぁああああああ!!!!!』
『ゆぅうううううきむるぁああああああ!!!!!』

バシーーーーーーーン!
ズドーーーーーーーーン!



口を開いた瞬間どこからか……予想だと真下から聞こえてきた
怒鳴り声と大きな音。
政宗は肩をすくめてお疲れさんと佐助の肩を叩き、前の佐助が何だか
とても情けない顔で机に突っ伏し、隣の元親は慣れきってるように笑い、
後ろの元就は騒がしいと顔をしかめて。

ああ、俺もう限界だ。

「あはははははははははははははははっ!!」

やっぱこれからの教師生活、楽しみだ。





END.

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