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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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0 かごのなか




「本当にお加減を知って欲しいのですが、朔洵様?」
「何がだい?」
「こうして、わたくしを閉じ込めていらっしゃることを」

窓はない。
壁は三辺が厚い漆喰、一辺が太い木格子。
小さな扉には頑丈な南京鍵。
足首には大きな枷、鎖が繋ぐ先には重い鉄球。

「閉じ込める? 何を言っているんだい、愛しい妹……琳音
「この状況が監禁でければ何とおっしゃるのでしょう、朔洵様」
「もちろん護っているのだよ、可愛いお前を」

格子の外には一人の男。
薄微笑を浮かべて優雅に立つ。
瞳はここではないどこかを見つめる。
小さく小首を傾げた。

「護っている……? ……わたくしを一体何から、護る必要があると、
 おっしゃっているのでしょうか」
「ふふ、もちろんお前を害なす全て……だよ、琳音
「そうですか。それではまず、朔洵様ご自身をお始末なさりませ」

くすくすと楽しそうな笑い声。
けれどやはり、視線はここではないどこか。
所詮上辺だけの表情。
心からのものではない。

「今日も手厳しいね、琳音
「朔洵様にお優しくする必要が、ありますのでしょうか?」
「そうだね、琳音に優しくされても嬉しくないかな」

優しくするのは好意からではない。
それを知っていれば受けようとはしない。
だから互いに優しくはしない。
する必要はない。

「……さて、私はしばらく出かけてくるよ、琳音。それと、何度目かな?
 私のことは兄上と呼ぶように言っているだろう?」
「朔洵様、二度とお顔をお見せにならないで下さりませ」





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