私はエドとウィンリィが起きてくる前に、駅に向かうことにした。
起きていたピナコさんとアルと少佐に、挨拶をすませる。
「僕たちと一緒に行けばいいのに……」
「うむ、我輩たちと行動した方が、何かと安全だと思うのだが?」
「本当に大丈夫ですよ、私は国家錬金術師じゃありませんしね。
それにセントラルには、特に用事がありませんから」
くすくすと笑いながら首を振る。
するとばっちゃんが、ふーっと煙を吐き出しながら笑った。
「何かあったらいつでもここに帰って来るんだよ、セツリ。
もうあんたも、孫みたいなもんだからねえ」
――今日からあんたもあたしの孫みたいなもんさ。
「うん……ありがとう、ばっちゃん。それじゃあ、そろそろ行きます。
……アルと少佐も元気で。エドとウィンリィによろしくね」
駅に行く前に、もう一度母さんの墓に寄る。
手を合わせて私は呟く。
「母さん、私はこれから……あの子を探す旅に出ます。
休ませてくれて本当にありがとう」
行ってきます。
『よう、二度目は楽しめたか?』
「何ていうかさー出だしに真理の顔見るとやる気なくすよねー」
『……言ってくれるな……』
私が首を振りながらやれやれと盛大にため息をついてやると、
真理は癪に障ったような声を出す。
ふん、これくらいしたって、いーでしょーが!
『ったく、お前と話してるとこれだから……もう飛ばすぞ』
「はいはい。ばいばい真理、とりあえずありがとね」
とたんに、ぐらりと起きてくる眩暈。
遠のいていく意識。
まあ、伯爵に攻撃を仕掛けられた時よりはマシかな。
――エドワード、アルフォンス。
君たちが無事に元に戻れることを、祈ってる。
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