86話
『うん、届いてたよ。雲のリング』
「恭弥まで巻きこむつもりはなかったんだけどな……」
『綱吉、今更何を言ってるの?君が僕と一緒にいる以上、
僕の所に指輪がなければ不自然でしょ』
「そりゃあ……恭弥が変わるとは思ってないけど」
『変わる君を見られるのは、嫌?』
「………………。」
『馬鹿だね。今まで僕が何度、君の豹変振りを見たと思ってるの?』
「……そうだね」
『大丈夫、君の周りで群れる奴は全て咬み殺してあげるよ。
とりあえず、ディーノって人を最初に咬み殺せばいいんでしょ?』
「いや、そこまでは言ってないんだけど」
87話
『直撃をくらわそうと思ったら避けられた』
「そ、そっか……」
『校舎に傷つけられたら嫌だから、ちょっと並盛を離れるよ』
「どこまで行くの?」
『さあ。とりあえず綱吉も修行が終わるまでは戻れないんでしょ?』
「うん……リボーンがその気だしね」
『戻ってきたらどれくらい成長したのか、確かめてあげる』
「……ありがたいんだか、何なんだか……」
『素直に受け取りなよ』
88話
「恭弥はさ、死ぬことが怖いって思ったことはある?」
『何言ってるの?生きるも死ぬも、僕には関係ない。僕に大切なのは
強いか弱いかだけ。力のない群れるものに容赦なんてしないよ』
「だよね……うん、身を持って知ってますとも……」
『それなら、綱吉はどうなの』
「俺?俺は……どうかなあ。恭弥と会う前だったら怖かったかも
しれないけど。今は、死ぬことが怖いっていうより、大事なものは
壊させないって気持ちが強いかも」
『群れるしか能のない、しかも綱吉を危険に合わせる草食動物の
群れなんて放っておけばいいのに。本当にお人よしだよね』
「別にそういうんじゃないって。ただ、俺の自己満足なだけ」
『(そこが“お人よし”なんだって、僕は言ってるんだけどね)
……まあ、別にいいけど』
「あ、そういえば恭弥、いつ頃並盛を離れるつもりなの?」
『あと少ししてから。あと一発くらいあの外人に喰らわせたいから』
「……そう」
89話
「ツナ」
「んー?何、リボーン」
「お前、死ぬ気になった時に、わざと5分だけにしてねーか」
「どういうことだよ」
「わざと気力を放出させて全力にみせかけて、たった5分だけしか
戦ってねーってことだ」
「……あのなあ、いくら俺がいつもダメツナのフリしてるからって、
そこまで出来るわけないだろ」
「ふん……。バジルが戻ってきたら特訓再開だからな」
(もー、リボーンって本気で鋭いなあ)
90話
(……とはいえ……、リボーンが今こうして俺にさせてる修行は、
俺と同じタイプだったI世のものと、ほぼ同じ修行。俺という
ボンゴレのボスに相応しいスタイルを身につけさせようとしてる。
つまり、いつまでも5分の死ぬ気テンションで戦わせていられない。
本当の俺を出せって意味でもあるんだろうな、リボーンの場合。
マフィアのボスなんか興味ないし、結構面倒なんだけど……
最近の俺って大事なもの、増えちゃったもんな……ぐだぐだ言って
怠けてられないのも仕方ないかなあ……)
「 あれ……?父さんいなかった……?」
「さーな」
「参りました。さすが沢田殿です。すごい一撃でした」