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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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プロローグ

 
 


俺の家族構成は、父ちゃん、母ちゃん、そして兄ちゃんだ。

兄ちゃんは……まあちょっとした称号を持ってて、めちゃくちゃに強い。
そこらへんの中級魔族とかだったら、にこにこ笑ってどつけるぐらい。

兄ちゃんがどんだけ強いか――。
それは、きっと兄ちゃんに向かってくる挑戦者よりも、
生まれた時から一緒にいる俺の方がよく分かってると思う。

何せ昔から、色々と叩き込まれてきたからだ。
料理が毒入りか調べる方法、一対多数で戦う方法、短剣だけで
長剣を持った相手に挑んでいく方法などなどなど……。

思い出したくない過去にはキリがない。

笑いながら俺を鍛える兄ちゃんは……ほんっと……。
いや、何も言うまい。
兄ちゃんなら俺が何を思ったかぐらい、勘で分かりそうだからな。

絶対に絶対に絶対に、逆らってはいけない存在である。

何とか兄ちゃんが知らないことで一番になりたいと、
俺が目をつけたのは魔道だった。
兄ちゃんは魔道よりも剣術の方が主にしてたから。

あつくるしい努力ってのがあんまり好きじゃない俺でさえ、
けっこー必死こいて頑張って研究して。
まあ、やってみると魔道の研究ってのは面白かったし、
嫌いじゃなかったんだけどな。
むしろ性に合ってた。

つまり俺にとって兄ちゃんっていう存在は畏怖の象徴であり、
また目標であり、一番に越えたいと思う相手なわけだ。



そんな兄ちゃんから『世界を見て来い!』って言われたら。
――行くしかないだろ?
その後に何故か『勇者になってこい』とも言われたけど。



勇者はともかく。
もちろん俺もそろそろ旅に出てみたいとも思ってたし。
意気込んで郷里を後にしたね。

最初は色んな国を見て歩き、漫遊しながら、無謀にもわらわら
狙ってくる盗賊どもを相手にしてた。
そして見つけたのは、アジトにある持ち主がまったく分からない財宝。
こりゃこのままあったら何かとマズかろーと思い、親切な俺は
丁寧に丁寧に保管してやってた。

きっと他の盗賊のアジトもそーなんだろーと思った俺は、
盗賊どもをこっちからいぢめ……いやいや、相手にしてやって、
そのつど逆恨みしてきた盗賊どもの復讐などをたびたび蹴散らし、
財宝を保管してやっていた。

俺って何ていい奴っ!

そしたら、誰だ。
いつのまにか『ロバーズ・キラー』なんて称号をつけやがった。
俺の善行をそんな言葉で片付けるとは、不届きな奴だな!

いつまでたっても「それはうちから盗まれた財宝です」なーんて
言ってくる奴がいなけりゃ、そりゃ何割かは拾ってやった奴、
この場合は俺の所有物になるって決まってるもんだろう。
うむ、世の中の理ってもんだ。

――そんな素晴らしい善行をしている俺の行く手、
少し前に盗賊どもがうろついていた。

だがそれは、いつものように俺を追ってきたというわけじゃなく、
どうやら誰かを取り囲んでねちねちと絡んでいるらしい。
ちらりと見えた女性の影に俺はニヤリと……いやいや、
助けなければと意気込んだ。





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