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黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

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蒼紅 17


蒼は過去夢を見る




【おい――。――! ……――ッ!! いい加減起きないか!!
【んぇう? ふあああ……あ。おはよう、――……】
【今何時だと思ってるんだ、お前は!! もう真昼なのだぞ!?
 お前の生徒が困っていたぞ!!】

【ええー? 今日は確かー……ん、魔剣術学があったなあ……】
【……悠長に思い出している暇があったら、さっさと着替えて
 授業をしに行けっ!!】


大声でたたき起こして、寝ぼけ眼のまま授業にいかせる。
酷すぎる寝坊癖を直せと口うるさく言っている。
だが、いつものらりくらりとかわして直そうとしない。
まったくいつも、手間のかかる奴だ。

大声でたたき起こされて、寝ぼけ眼のまま授業に行く。
ちょっとした寝坊癖を直せと何度も言われる。
小言を言いながらも、何だかんだで世話をやいてくれる。
本当に苦労性なんだから。



【良い所に来たわね、――♪ コレの次に入れるのは何だっけ?】
【その次はクレウルの原液だと、昨日も言ったぞ、――】
【……そ……そうだったかしら……?】

目線を逸らして冷汗だらだらで、とぼけても意味がない。
魔法薬が苦手すぎるのも教師としてどうかと思う。
いつもあいつと悪戯してばかりで、迷惑をかける。
いい年して子供か、お前は。

目線を逸らしながら、とぼけてもあいつには意味がない。
魔法薬が苦手なのも個性としてしょうがないよね。
でも、何とか頑張ってみてはいるんだよ。
君に頼らないように。



【探してたんですよ、――。約束してた魔道書です】
【すまない ――。これを持つのは、今ではお前しかいないからな】
【別にいいですよ。借りは実験台で無しにしてあげますね】
【……………………。】

誰よりも知識があって何よりも賢いのは別にいい。
しかし、より知ろうと人を実験台にするのは止めてほしい。
それも自ら編み出した、不可解な魔法を使って。
彼女に頼みごとをするのは命がけだ。

誰よりも何よりも頭が良いから、時々は頼りにしてる。
だけど、それでも苦手な人っているものだよね。
それがどんなに賢朗な人であろうとさ。
彼女に頼みごとは、最後の手段だよ。



【……もう……行くんだね、――】
【何だ……寝坊癖のお前が良くこの時間に起きれたものだな?
 私はもう、ここにいる必要がなくなった】
【実は徹夜してるから、このクマを目に入れてほしいよ。……僕のせいか】
【早く部屋に戻って寝てしまえ。お前たちは意見を貫いただけだろう。
 何を気にすることがある】
【あまりにも眠くて、今にも倒れそうなくらいなんだよね。…… ――、
 僕は君に干渉しても良かったのかな?】
【最後まで私に手間をかけさせようとするな。それに干渉だと? 何を今更?
 お前が私をここまで引っ張ってきたんだろう】
【かけてないよ。まあ、そうなんだけど……じゃあ干渉しておこう】
【どの口が言う。最初に言っておくが、悪戯は拒否しておくぞ】

【あはは、じゃあそうしよう。ありがとう、サラザール】
【何故礼を言うのか分からないが。ではな、ゴドリック】



金髪に碧の瞳の剣を携える男。
ふわふわした金髪に緑の瞳の女。
肩までの茶髪に水色の瞳の女。
そして、黒髪紅眼の男。

――創設者。

頭がぼーっとしてるけど、それだけは分かった。
何より “サラザール” と “ゴドリック” と2人は口にした。
じゃあ、あの女性たちはヘルガとロウェナだろうか。

ああ、思い出した。
俺は今までずっとこの夢を見ていたのか――。

ずっと閉じてると思ってた目が、いつのまにか開いてた。
見慣れない天井が見える。

――どこだ?

そう言おうとした俺は、ようやく声が出ない事に気がついた。
何か右腕がやけに重いような感じがするな……。
……というか、確か俺ってあの時バジリスクの牙に……。

――サラザールはっ!?
アオイ、無理に動こうとするな。倒れるぞ』

バジリスクの毒にうなされてあのまま意識を失ったことを思い出して、
無理矢理起き上がろうとすると比較的近くから声が聞こえた。
目線を移すと、枕の横に杖が1本。
それに俺は安堵して、今度は辺りを見回してみる。
だけどカーテンがぐるっとベッドを囲んでて、何も見えない。

(何だか保健室っぽい匂いがするな……)

『私は今、杖から出ることは出来ないが、意思疎通くらいは出来る。
 そのまま頭の中で話すといい』
――分かった。……じゃねぇって!! サラザール、あのあと俺は
   どうなったんだ!?
『倒れていたお前たちを教師たちが見つけて、保健室に運んだんだ。
 お前は毒のせいで、1ヶ月ほど意識がなかったんだぞ』

(うっわーマジかよ、1ヶ月も寝てたのか、俺って!!)

……って、ちょっと待て、と俺は我に帰る。
ということは……今はどこまで話が進んでいるんだ?


『生徒は全員各寮にすぐに戻りなさい。教師は大至急職員室にお集まり
 下さい』



マクゴナガル先生の声がホグワーツ中に響いた。





NEXT.

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