10 スランプな絵描き

　
　

　

ああ、まったくイライラするなあ。
どうして理解を示さないのか？
素晴らしき作品を。


ああ、まったくムカムカするなあ。
どうして自ら汚していくのか？
清められた自然を。



まるでかんしゃくを起こした幼子。
泣き叫び気に入らなければ急にすねて。
何が何でも手に入れようとする。
仕様のないわがまま。



ああ、まったくクラクラするなあ。
どうして何も感じないのか？
趣のあるこの芸術に。


ああ、まったくガッカリするなあ。
どうして見る目のない者がいる？
描きたくもない。



赤色、朱色、紅色。

どの彩色を選んでも納得できない。
この輝く血雨は誰にも描けない。

そこの “ピース” 、邪魔だ。
わたしのアトリエにふさわしくない者は消えろ。
喜べ、この筆でお前をあかいろで塗ってやる。



ああ、まったく。
ああ、まったく。

“マスター” は何故 “ピース” を使う？
“キャラクター” だけで十分だ。





スランプ気味の “絵描き” を困らせるな。





END.