「暗闇の中を一人の少年が往く 正確には一人と一匹
少年の右手には細い杖
その先に現れざる雄々しい影もまた昏 (くろ) く
漆黒の毛並みを持つ犬は小さく唸る
立ち尽くす少年―― 『ハリー』 の名を呼ぶかのように…」
辛い場所に留まり 冷たい言葉に耐える
輝ける友もクィディッチも ここでは何の意味もない
「疑心とは真実の側面を抉り取る刃物
この私は果たして…何をし…何を行ったのか…」
奪われた自由と意思 かくして世界は褪せる
降り止まない言葉の中に 何色の空がある?
沈黙を背負うほど加熱する嘲りは
怒鳴るまでは気づかない
許しがたい親の中傷
空虚な夜に飛び出して 冷たい風に震える
帰る場所も待ってる人も ここには誰もいない
「推論とは事実の背面を削ぎ落とす刃物
この私は果たして…何を見…何を悟ったのか…」
死神犬 (グリム) と吸魂鬼 (ディメンター) を見て
かくして世界は落ちる
遠い日から聞こえてくる 両親の叫び声
幸せをかき消し 従える心算(つもり)でも
未来 (さき) を掴もうと伸ばした
その腕に親の仇…
閉ざされた少年の心が開かれし瞬間 (とき) 事実は
幻想してた最高の現実 (ゆめ)を …
新しい家族 (ひと) を見る…
「信じてくれ」
「 『罪』 とは…目眩ましとして守人を奴に代えるよう
勧めてしまったことなのだ
だからこそ私は何かをせねばならなかった
まだ生きていると知っているのは私だけだ……
まるで誰かがわたしの心に火をつけたようだった
しかも吸魂鬼はその思いを砕くことは出来ない……
幸福な気持ちではないからだ…妄執だった……
しかし、その気持ちが私に力を与えた…
北へと旅し、ホグワーツの校庭に犬の姿で入り込んだ……
もちろん、一度だけクィディッチの試合を見にいったが
ハリー、君はお父さんに負けないくらい飛ぶのがうまい……
裏切るくらいなら、私が死ぬ方がましだ」
「信じてくれ」
閉ざされた少年の心が開かれし瞬間 真実は
幻想してた最高の現実 (ゆめ) を…
新しい家族 (ひと) を見る…
エメラルドに煌く瞳が鮮やかに染めた世界と
揺らめく現実 (いま) に手と手を重ねて…
再会の日を願う…
「なんと礼を言ったらいいのか
また会おう…君は本当にお父さんの子だ ハリー……」