忍者ブログ

黒犬倉庫

版権・オリジナル・ CP 小説中心。よろずジャンルなブログ(倉庫)。二次創作や、オリジナルキャラクターが主軸となる作品が多め。受け付けない方は閲覧はご自重下さい。原作者・出版社等の関係はありません。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

クラスシリーズ 6








紅の水滴(しずく)。
ふいに手の平へ落ちてきた。

ぽたり……ぽたり……


闇のように濃く色づいた紅。
じわりとにじんでシミをつくった。

ゆっくり……ゆっくり……


黒ならば全てを飲み込むだろう。
なのにこの紅は惑わせる。

少しずつ……少しずつ……


まるで私に手を伸ばしながら。
戻れぬ先へ誘うように。

笑って……笑って……


その手をとってしまったら、多分、
私は今の私のままではいられない。

きっと……きっと……


二度とは帰れない深闇(しんあん)の中で。
眠れぬ夜を過ごすだろう。

ずっと……ずっと……


歩いていくたび紅は笑んでいく。
確実に私を手にするかのように。

ひとつ……ひとつ……


このまま歩いていけば手をとってしまうだろう。
逃げだす時のそれは酷い泣き顔で。

醜く……醜く……





いつまでも私を待つのは紅。





「高地、今すぐに救急車呼んでやるから、保健室で
 吐血し続けるのだけはやめてほしいんだ」





出席番号6番
高地 直美(こうち なおみ)

拍手[0回]

PR