201601/17 クラスシリーズ 6 クラスシリーズ(オリジ) 0 紅の水滴(しずく)。ふいに手の平へ落ちてきた。ぽたり……ぽたり……闇のように濃く色づいた紅。じわりとにじんでシミをつくった。ゆっくり……ゆっくり……黒ならば全てを飲み込むだろう。なのにこの紅は惑わせる。少しずつ……少しずつ……まるで私に手を伸ばしながら。戻れぬ先へ誘うように。笑って……笑って……その手をとってしまったら、多分、私は今の私のままではいられない。きっと……きっと……二度とは帰れない深闇(しんあん)の中で。眠れぬ夜を過ごすだろう。ずっと……ずっと……歩いていくたび紅は笑んでいく。確実に私を手にするかのように。ひとつ……ひとつ……このまま歩いていけば手をとってしまうだろう。逃げだす時のそれは酷い泣き顔で。醜く……醜く……いつまでも私を待つのは紅。「高地、今すぐに救急車呼んでやるから、保健室で 吐血し続けるのだけはやめてほしいんだ」出席番号6番高地 直美(こうち なおみ) [0回]PR