また今日も、綺麗な血雨が降る。
辺りを見渡して溜息をつく。
ああ、またこんなに汚してくれた。
どこから手をつけたものか。
まず……ここはピエロと博愛主義者がいたのか。
よくもまあ、スパスパ斬れるものだ。
だけどおかげで血雨は強かったみたいだな。
少しは後のことを考えられるようになったのか。
さて……次は大道芸人とギャンブラーだ。
まったくこいつらは散らかすのが巧い。
そこら辺にボールだのナイフだのサイコロだの、
がらくたばかり捨てていく。
おや……そこはマリオネットと配達人だな。
それに異教徒もいたのかもしれない。
彼らは一番汚さないでくれるから楽だ。
血雨が弱いのは残念だが。
うわ……あそこ作家と絵描きがいたな。
どうも最近気に入った作品が出来上がらないらしい。
インクも絵の具もぐちゃぐちゃじゃないか。
これは時間がかかりそうだ。
ばしり、と羽箒を振るう。
珍しいな……調律師あたりが失敗でもしたのか。
出てくる前に占い師に見てもらえば良かったかもしれない。
でも “セーブ” している時間は短い。
こんな “ピース” にかまけてる暇はないんだ。
もうすぐ血雨の降る時間だ。
忙しすぎる“清掃員”は休みなどないから。
END.